泉柳寺 納骨礼拝堂
愛知県・寺院・木造

観音さまの背景としての建築
泉柳寺は東海市にある曹洞宗の寺院、正式には醫王山泉柳寺という。知多百観音98番札所で薬師如来が本尊です。 現代において一人暮らしなどで墓など維持できない方のために、ある期間礼拝する施設の設計をさせて頂いた。
施無畏印
仏教において手の指で形を作ることで意味を持つ、印相があります。 手を上げて手のひらを向けた印相を「施無畏印」といい。恐れなくていい、相手を励ます意味があります。泉柳寺納骨礼拝堂は施無畏印(relax)と部分と全体をコンセプトに作りました。
それは、今の世とあの世のことを考えること、穴を開け覗くことで考えていただこうとおもい、屏風や壁のような無地な外観に一部むこう側が見える場所を作りました。

それは、今の世とあの世のことを考えること、穴を開け覗くことで考えていただこうとおもい、屏風や壁のような無地な外観に一部むこう側が見える場所を作りました。
部分から全体を想像することは、一部の木を見て森を想像すること。さらに別の大きな世界を想像することにつながればいいと思う。


板金によるこけら葺
屋根の板金は、板を割いてつくる「こけら葺」のように素朴で分かりやすい形を検討しました。切板を重ねるだけの屋根材を試作し、強度不足は折を軽く入れることで、吹上の強度と水の吸い込みを止めることができました。材種も2種類使うことで色のばらつきも生まれ自然な図案ができました。実はこの屋根、僧侶の袈裟をイメージしている。袈裟はご存知の通り僧侶の身に付ける衣装のことで、小さな布を継ぎ合わせ出来ている。もともと出家僧侶は財産を持つことが出来ないので、拾ったり頂いた布をつなぎ纏っていたことが始まりである。袈裟のことを別名、糞掃依とも言う。今では布のつなぐ条数に決まりもあり、
帯は全25条衣あり、これは僧侶の作法によって変わるようである。納骨礼拝堂の屋根も25条であり、袈裟の条衣に合わせた形となっている。

覆いかぶさる屋根
棚はロッカー形式ではなく、飾り棚のように軽やかで浮かんだようにデザインしました。 風に動かされ緑と光が穏やかに包む空間です。
屋根は建物を覆うようにして地面からのリフレクトした太陽光が内側に優しく入り込みます。南に一部切り取られた軒は境内の緑がうかがえます。
伝統的な宗教デザインとは違いますが、先祖へつながる施設として分かりやすい形態を心がけました。泉柳寺は地域のお寺で檀家がとても気遣いされてお寺を守っています。地域の次の世代でもわかりやすい礼拝堂となるといのですが。

観音像と礼拝納骨堂

参道からの礼拝納骨堂

上棟

エントランス

内部

上棟時



